Jazz-Ken(ジャズ研)

ジャズのこといろいろ書いてます。

ビバップの語法は使わなくても

youtu.be

ポールデスモンド(デズモンドかな、ほんとは)のアルトサックス。
柔らかくてスムーズな音色が人気の人で、僕も彼の吹く音色はすごく好きだが、
彼のアドリブラインの展開の仕方も非常に興味深い。
この時代のジャズのサックス奏者ってチャーリーパーカーの
ビバップの語法を受け継いでいる人が大勢を占めると思うが、
その中にあって、この人はあんまりその影響を受けていない。
ちらちらとバップフレイズも吹いたりはするので影響ゼロではないだろうけど。
この人のアドリブラインの組み立て方の骨子はモチーフ展開だと思う。
何かあるフレイズを吹いたら、それで終わらせずにそのモチーフを使って
次の展開につなげていくのだ。そういう場面が非常に多い。
モチーフの展開はそれこそバッハに代表されるようにクラシックの作曲技法の
基本だと思うが、そのやり方でアドリブすることによって、メロディラインの
横の流れが非常に有機的なものになり、聴きやすい旋律となって聴き手に届く。
このやり方はもちろん彼の専売特許ではないけれど、(ブラッドメルドーなんかは
かなり意識的にやっている)こんなにスムーズにやれる人もそうはいないのではないだろうか。